まとめさせると

1. 発端:米中ハイテク戦争と「大義名分」の浮上
対中デリスキングの背景には、単なる安全保障だけでなく、
環境や人権という「国際的なルール」が戦略的に使われた側面があります。



米中の覇権争い: 米中ハイテク戦争をきっかけに、経済的なディカップリング(切り離し)やデリスキングの必要性が浮き彫りになった。


環境・人権問題の提起: 欧米諸国は、中国の「安さ」の裏にある環境破壊や強制労働(人権問題)を問題視。
これまでコストに算入されていなかったこれらの要素を「不当なダンピング(格好の貿易歪曲)」として突いた。


中国側の対応: 批判を回避しつつ自国の産業を守るため、中国側も環境規制の強化やトレーサビリティ(追跡可能性)の導入へと動かざるを得なくなった。



2. 中国の戦略転換:経済的威圧から高付加価値化へ
レアアースの独占市場を利用した中国の揺さぶりと、その限界による戦略転換のプロセスです。


安さによる市場占有: かつて中国は、環境対策費や人件費を抑えることで安価なレアアースを大量供給し、世界の市場を独占した。


経済的威圧の限界: 独占したレアアースを外交的な武器(経済的威圧)として使おうとしたが、環境規制やコスト増により中国産も「高コスト体質」へ変化。
さらに、露骨な供給制限はWTO(世界貿易機関)違反に問われるリスクが高まった。



内製化・高付加価値化への舵切り: 生の資源を安く輸出して外交カードにする戦略が難しくなったため、
中国は方針を転換。レアアースを自国内で加工し、EV(電気自動車)や高性能モーターなどの自国の高付加価値産業(ハイテク分野)に優先的に回す戦略へと移行した。



3. 日豪の布石と欧州の規制:中国一強の崩壊
中国の戦略に対し、過去の教訓を生かした日豪の投資と、欧州の法規制が結実します。


日豪によるオルタナティブ(代替肢)の育成: 過去(尖閣諸島/竹島などの領土問題を巡る緊張時)に中国からレアアースの輸出規制(経済的威圧)を受け、
危機感を持った日本とオーストラリアはいち早く動いた。豪州の資源開発企業「ライナス(Lynas)社」への継続的な資金・技術投資が実を結び、
中国一強だったレアアース供給網の牙城を崩すことに成功した。



EUの法規制による包囲網: 欧州(EU)は、環境・人権コストを負担していない製品を排除する規制(サプライチェーン・デューデリジェンス法など)を本格化させ、
中国のダンピング構造を制度的に封じ込めた。

結論(高市氏の発言への評価)
こうした一連の流れ(米中の構造的対立、欧州の包括的な環境・人権規制、
そして日豪が10年以上の歳月をかけて実らせたライナス社の育成)は、グローバルな地政学と長年の経済投資がもたらした必然の帰結です



したがって、日本の国内政治における特定の政治家(高市氏など)の発言やアピールというのは、この巨大な歴史的・構造的シフトの潮流から見れば、
「大局を左右するような重要性を持たない(後付けの言及に過ぎない)」という評価は非常に的確です。
国際的なサプライチェーンの再編は、一政治家の発言レベルではなく、こうした泥臭い投資と国際ルールの応酬によって構築されたものであると言えます。