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唎酒 立葵(りしゅ、たちあおい)
昼酒を飲むため、初めてK蕎麦屋に行った。K蕎麦屋はなかなか魅力的だったが、それよりもわたくしの関心を強く引いたのは、近くに店を構えていたS立ち飲みだった。気になってしょうがなかったので、蕎麦屋で飲んだ帰り、立ち寄ってみた。
「龍勢」「能古見」と飲み進め、続いていただいたのは「唎酒 立葵」だった。はて、聞いたことがない酒名だぞ、とおもったら、かの有名な「八海山」の新ブランドだった。
当連載はこれまで、「八海山」を14種類取り上げている。燗酒の良さや、同蔵のラインナップの一つ「越後で候」の強烈なインパクトなど、飲み手の心に残る銘柄だとおもっている。
「唎酒」は、2022年に創業100周年を迎えた八海醸造が、「八海山」の名を冠さない、新たに立ち上げた挑戦ブランド。
新ブランド「唎酒」のコンセプトは、以下の通り。
▽「『唎酒(りしゅ)』は、『食に寄り添い、心はなやぐ酒』をテーマに醸しています。蔵人の感性と技術で表現された、年々進化する味わいをお楽しみください」(瓶の裏ラベル) ▽「蔵人がその感性と技術を表現して年ごとにテーマを変えて仕込む酒」(発表会での紹介文)
さて、いただいてみる。上立ち香は、やや刺激的な揮発系の香り。含み香は上立ち香とまったく違っており、バラをおもわせるフローラルな香りだった。
やわらか、まろやかな口当たり。味わいではまず甘みが来る。そして、甘みが酸を伴うイメージ。飲み進めて行くと次第にさっぱりとした口当たりに変わっていく。余韻は軽い苦み。
甘酸っぱさは、例えるならばアンズのニュアンス。梅酒のニュアンスもほのかに感じられる。
このお酒をカテゴリー分けすると、タイプはモダン寄りの、ミディアムボディー酒。あるいは薫酒と醇酒が一緒になったようなタイプ。あるいは濃淡中間芳醇旨口酒。
瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。
「タチアオイ 杜氏 村山雅俊 唎酒274の酒づくり:朝霧に濡れた可憐な野いちごを思わせる、みずみずしく印象的な香り。のびやかに広がる果実味を伴った甘酸っぱさとビターな余韻が、華やぎのあるひとときを演出します」
また、発表会での紹介文は「紫黒米による柔らかな桃色、芳醇な果実香と野苺のような甘くてビターな香り。芯のある多層的な酸味と合わさり、食との相性の可能性を広げます」と紹介。
さらに蔵のホームページは以下のように紹介している。
「やわらかなロゼピンクが目を引く一本。朝露に濡れた可憐な野いちごを思わせる、みずみずしく印象的な香りが広がります。のびやかな果実味を伴う甘酸っぱさと、ほのかなビター感を残す余韻が調和し、華やぎのあるひとときを演出します。飲み方の提案として、ワイングラスに氷をひとつ浮かべて楽しむスタイルもおすすめです。ほどよく温度が下がることで甘酸の輪郭が引き締まり、より軽やかで爽快な表情が引き立ちます」
瓶の裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)、アルコール分14.5度、製造年月日2025年8月7日、蔵出日26.07.03」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念だ。また特定名称の区分をしていないのも残念だ。
さて、新ブランド「唎酒」の由来について、日本酒ライターの関友美さんが、ノートにそれとおもわせるニュアンスのことを書いているので、以下に転載する。
「ブランド名である『唎酒 Rishu』には、『毎年出てくる味わいを、きき酒するのが愉しい』という想いが込められています」。「きき酒するのが愉しい」を漢字で書くと「唎酒するのが愉しい」となる。
酒名「八海山」の由来について、コトバンクは「酒名は、越後三山のひとつ八海山に由来」とし、山の八海山については「新潟県南東部の山。標高1778メートル。駒ヶ岳・中ノ岳とともに越後三山とよばれ、修験道場として知られる」と説明している。テレビの山番組で八海山をみたが、なるほど山頂稜線は危険いっぱいの恐ろしい山だった。
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